豆腐

まだ夏じゃない

2014/05/20 23:18

今から10年ほど前、つまりまだ20代前半から半ばはバンドTシャツやバンドパーカによくわからないジーンズという小汚いいでたちであったのだけれど、なにかの拍子にこのままではいかん! と一念発起し、なけなしの虎の子を握りしめて今は懐かし、というか当時でも裏原なんてことばは死語となっていて人気の全盛期は過ぎていたが、それでもぼちぼち支持のあった、というか当時おれが唯一知っていたrevolverというブランドの店に震えながら飛び込み、店員さんにカクカクシカジカ、しかしおれにはファッションの知識がなく、どうかお力添えを……とDOGEZAをしてジャケットやらなんやらを揃え、おすすめのセットアップなどを学び、なんとか形だけは当時の若者っぽいファッションを覚え、あれ、これまで全然興味なかったっていうかむしろ小馬鹿にしてたけど、ファッションあれこれするのって意外と楽しくね? と、いかにもありがちなパターンでファッション沼に浸かってしまい、その後revolverの別ラインとして始まったFarrell、そしてそのFarrellからさらに別ブランドとして立ち上がったELNESTのヘビーユーザとなり、とはいえたぶんそれらのブランドに使った額などせいぜい十数万で、あれ意外とっていうかけっこう金かかってるな、同人誌とかラノベとかは当時から買い続けてたしな、あれ、これ冷静に計算したらヤバいな、忘れよう……というように服を買い続け、そのうちrevolverが札幌から撤退してELNESTだけが残り、三十路くらいまではあれも欲しい、これも欲しい、もっと欲しい、もっともっと欲しい、とファッションを楽しんでいたのだけれど、年をとるにつれて体型や好みも変わって、なにより新作がどうにもおれの好みと微妙にマッチしなくなってきて、そうこうしているうちに服への興味は薄れ、というかぶっちゃけ高くて買い続けるのもしんどくなり、ここ数年自分で買った衣服類といえばユニクロのパンツと靴下くらいであり、アウターやトップスなどは過去の遺産で通している次第で、当時の情熱は今となっては昔、わたしにも若いころがあったんだよ坊や、とカルアミルクの一杯でも舐めながら過去に思いを馳せるじじいと化したわけで、もともと疎いというか興味がない流行というものに対してよりいっそう関心を持てなくなってしまって、これを老いと言わずして何というのだろう、老兵は死なず、ただ消えゆくのみ、などと嘯く昨今であるが、ただそんなおっさんでも、どうしても納得がいかんというか、それはないだろうというものがあり、具体的にいうと、ジャケットにショーツ、つまり短パンというセットアップであり、ジャケットはジャケットでいいよ、短パンも個人的には膝上はどうかと思うけど、それもまあいいよ、でもそれらを組み合わせたら、どう見てもコナンだろこれ