豆腐

まだ夏じゃない

23:38

ぼくの通っていた学校に新米教師として赴任してきて、その風貌は見るからにひ弱で、いかにも真面目な黒縁メガネをかけたあの先生は、ぼくたちと歳が近いからか、それとも元来の性格によるものなのか、あるいは両方なのかもしれないが、ちょっと悪ぶった連中に舐められつつもぼくたちと正面から向き合ってくれて、どう考えても力では及ばない生徒に文字通り体当たりでぶつかっていってその素行を正そうとしたりと、今思えば彼は良くも悪くもとても教師らしい教師であったと思うが、それなのにぼくは彼のことを、何人もいるろくでもない教師のひとりとしてしか認識しておらず、当時のぼくは一体なにを見ていたのだろう、もしいつかどこかで会うことがあればせめてお礼をしたいのだけれど、おそらくそれは叶わない夢であるのだろうな、なんて少しだけ感傷的な気持ちになってしまうのだけれど、そんな先生は、ぼくが卒業したあとに女子生徒に手を出して問題になりどこかに飛ばされたようで、やっぱあいつも含めてあの学校の教師ろくなもんじゃないし、あんなド田舎でも女子高生最強伝説は証明されるんだなと思いました。