豆腐

まだ夏じゃない

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MAGP :Thanks, friends - YouTube

歳を取ると涙もろくなるとよく言うがたしかに歳を重ねるにつれて些細なことでこころ動かされてしまう機会が多くなったように思い、これはどんどん衰えていく感受性がまだ生きているからなのか、それとも機微というものに敏感になったからなのかは分からないけれど、フラワーカンパニーズの深夜高速のように、歳をとったらとるだけ透き通る場所というものがたぶんあって、そこになにかが刺さったときに思いがけず涙したりしてしまうのかもしれない、というわけで、ただありがとうというメッセージを連ねただけのこの動画にもなんか知らんがグッときてお前泣いてるのか……? なっ泣いてないわよ! とイマジナリー俺とイチャイチャしたりしたのだが、このありがとう動画ってお前らカネも出さずに違法アップロードされたアニメとか見てんじゃねーよというメッセージをものすごーーーーーーーく遠回しに伝えているわけで、実に日本人的なものだなあと思うのだが、昨今クールジャパンでなんちゃらかんちゃらという動きがあるのだし、何度も繰り返し応募したマンガとかラノベ作品がどっかの賞に引っかかってやったーデビューだー! と喜んだのもつかの間、締め切りに追われ続ける生活が始まり、売上部数を聞かされて胃がキリキリしたり、編集の理不尽な要求に付き合わされて、一体なんのためにやってるんだろう? と自問自答をし始めたり、それでもなんとかそれなりに人気が出て、幸いにもアニメ化が決まってヨッシャー! と喜ぶ原作者をよそに、それじゃどこのスタジオが作るのか、監督は誰なのか、どれだけのカネを動かせるかなどの駆け引きの末なんとか製作委員会という謎の組織が誕生し、各種メディアであのなんとかがついにアニメ化! と聞かされたファンの期待と不安を受けて動き出すアニメ制作の現場の監督がどうにも信用できないというかぶっちゃけ人としてどうなのレベルで付き合いきれんわと思ったスタッフが逃げたり、残りのスタッフたちは家にもろくに帰れず死んだ目で淡々と作業を行うも手にするカネは月に10万円とかそんなレベルで、でもぼく/わたしアニメ好きだから……という自己暗示にも似た強迫観念だけがその身を支えているような状態で、しかしそれはいつか破綻を迎えて倒れたりあるいは……という自体になっても監督は自分のエゴを押し通すことばかり考えて原作要素ガリガリ削られたり、そんななか始まったアニメは案の定大爆死で売りスレは盛り上がるけれど制作サイドは顔真っ青、監督はTwitterで我こそが唯一神であるような言動を繰り返して大炎上、原作ファンにすらそっぽ向かれて、これどうやったらペイできんだよ! グッズも在庫の山だよ! という怒号飛び交う会議室、あんたのところとは金輪際仕事しないからな! と決別する両者、あとには草の根すら残らないような焦土と化し、その煽りを食らった原作も打ち切られて結局誰も幸せにならなかった、というような架空の生々しいお話をこの際にクールジャパンだかにかこつけて海外アニメマンガファンにしっかりと知っていただき、その後、違法アップロードサイトでそんな苦しみの果てに生まれた作品をこっそりならまだしもタダでおおっぴらに楽しんでくれているんだね、アニメが好きなんだね、サンキュー、ところで、と改めて最初のありがとう動画を魅せるとどんな反応をするのかなという実験をしたいんだけれどどこに問い合わせればいいんだろう? 文化庁