豆腐

まだ夏じゃない

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高校生にとってのワクワクイベントの最たるものであろう修学旅行、枕投げしたり恋バナしたりこっそり女子の部屋行ったりとそういったことに意味はないけれど、十数年後、仕事中にそんな記憶がふと浮かんできてそれは思い返すと素晴らしい世界そのものであったのだな、なんて微笑みを浮かべて、思えば遠くへ来たものだ、あいつら一体どうしているだろうかなんて思いを馳せるのが一般的な修学旅行の思い出であると俺はまるで思わず、そもそも修学旅行においては決まって班決めというクソガチャイベントが実施されるわけで、高校時代の思い出といえば部室の畳を腐らせる実験とかゲームボーイでひたすら風来のシレンをプレイしていたなあなんてことしか思い浮かばんような、かといってイジメとかそういうのに遭ったということもなく単に空気と同等であったというか、いわゆるスクールカーストというやつの埒外に存在していたような人間がどんな班を組むことになるかというと似たような連中で寄せ集められるわけで、他の班が仲の良い連中で4人程度集まってあれしようこれしようなんて楽しげに話していたのに対して俺の班は7人、市場に出荷されることを許されないB級C級品はとりあえずひとまとめにすりゃいいべという教師たちの思惑がはっきりと分かる構成で、それぞれに多少面識があるというだけで仲が良いわけもなく、実際に東京やら京都やらに行ったら行ったで我々のチーム掃き溜めの中でも普段から問題行動ばかり起こしていたアホがしょっぱなから教師にしょっぴかれてそのあおりで自由時間が減り、またチーム不燃物は7人というふざけた構成人数のため行きたい場所などがてんでバラバラでやりたいと思っていたことの大半はどうにもならず、覚えていることといえばイケベ楽器だかどっかでトーカイの黒いレスポールタイプをなんとか購入できたのと(ただしこれは輸送中の事故でボディに穴が開いた状態で届いた)、京都でミッシェルガンエレファントのアルバム「チキン・ゾンビーズ」を購入したこと、あとディズニーランドではこじんまりとしたゲームコーナーでずっとバーチャ3tbやってたなという程度であって別に修学旅行でやらなきゃいけないことは何一つなかった次第であり、旅行から戻って感想文を書けという課題は各種交通機関のランク付け(飛行機は落ちたらまず死ぬので低評価、地下鉄は気楽なのでグッド、でも結局は徒歩が一番だよねといった具合)について記述することで辛うじて切り抜けたが、そういうわけで修学旅行は俺にとって苦痛以外のなにものでもないものとして刷り込まれているので、普段別にモテてるわけでもないのに修学旅行の自由時間に意中の女子に呼び出されて「ねぇ、あたし◯◯くんのこと……すっ、好きなの……!」とか言われないかなーとか寝ぼけた事思ってる奴にはそんな事絶対ありえないから安心しろきんつばでも買ってろと助言するし、もしそういう青春を具現化したようなイベントに実は出くわしたんだよハハハという方にはあっそ刺されて死ねと申し上げる丑三つ時であります死ねくそが。