豆腐

まだ夏じゃない

22:31

調べてみると一杯のかけそばは実話を元にした童話として1989年に大ブームとなり朗読・映画などの各種展開が行われたが今ではフィクションだろこれということで落ち着いていて、俺も小学生のころに読んだか聞いたかしたことがあってがんばればなんとかなるぜ、がんばらなきゃいけないぜメーンという教訓めいたお話であることよと思ったが、言いたいことは大変その通りだけれどその後の俺の人生に大きく関わるようなこともなく今のような体たらくっぷりであってそれでも昼飯にそばが食えるくらいの生活はできておるわけで、それはそれで俺みたいに生きてもなんとかなるぜメーンという別の教訓というか慰めになるかな、あまりならないような気もするが、この一杯のかけそばはご存知のとおり大晦日にやってきた母と子の三人が一杯だけそばを出せと言ったら店主が気を利かせて1.5人前の麺を茹でて出したというのがはじまりで、翌年もまた一杯、翌々年には二杯頼んで3人で分けあって食ってたけどある年から母子たちはぱたっと来なくなってどうしたんだろうねえなんて待ってたら十数年後ついにその母子たちが再来してついに三人は三杯のかけそばをそれぞれ食えるくらいの生活を手に入れたのだヤッター! という話だが、最初と翌年はまあいいんじゃねと思うんだけれど翌々年の二杯を三人で分けあって食うというのが想像すると既に状況として苦しい気がするわけで、だいたい量を考えると1.5人前が2人前になってそれを正確に三等分して食ったとしたら一人あたり0.66666666……人前になって1.5人前を分けてくった場合とほとんど量的には変わらんのだから金はないけどどうしてもそばが食いたいのなら一人前を大盛りで頼んだほうがコスパ的にはいいんじゃないっすかとか思ってしまって、いい話はいい話として聞けデブと言われれば確かにその通りですがいくら事実でも面と向かってデブと言われたらさすがに傷つきますよと遺憾の意を表さざるを得ず、デブついでに言うと俺なら最後の年は母と子の片割れが他界して唯一生きていた弟がひとりでやってきて3人前のそばを一人で全部食うってラストのほうが切なさがあっていいと思うんだけれど、中盤までのいい話をぶん投げて最後にいきなりフードファイトになるという展開はたぶんAmazonとかでクソミソに言われるんだろうな。