豆腐

まだ夏じゃない

眠りの小五郎は本当に眠っているのか

死海文書の中でも最も馴染み深いと思われる書物であるウィキペディアによると、あのように針一本に塗布された量で瞬時に眠らせることができるような薬物は存在しないようで、しかし当人は確かに意識を失っているということは博士が謎ガジェット製作のついでに彼が特定のトリガで意識を失うよう人体改造を行ったか、あるいはやはり針になんらかの仕掛けがなされている、あるいはその両方により彼は眠りの小五郎と化しているのではと思い、そこで浮かんだのが「彼は本当に眠っているのか」という根本的問題で、ここでいう眠りとは我々が日常的に経験している睡眠のことであり、先述の通りあのような超短時間で睡眠状態に陥るような睡眠薬や麻酔薬の類が存在しないのはウィキペディアに書いてあったから否定のしようがなく、実のところ彼は眠っているわけではなく、ただ意識と身体の自由を喪失している、つまりコーマや失神といった状態に陥っていると考えるのが妥当で、また彼はそのような状態に陥ったのちに短時間で意識を取り戻し後遺症もないようで、この事実から彼は針により眠るのではなく失神しているのでは? という仮説をここに立てることにして、それでは失神の主な原因を調べると失血や神経原性の疾病によるものが挙げられるが彼は大量出血していないし、また脳幹障害の症状も見られないためこれらが失神の原因ではないと思われ、実際にありそうな線を探ってみると不整脈心室細動等の疾患による心原性失神、また低血糖発作による失神が現実的な落とし所ではないかと思うわけで、心室細動を誘発させることはできるのかというとこれはわからなかったがカフェインを大量に摂取すると心拍数が増加し不整脈を引き起こすことがあるそうで、具体的には5〜10gが致死量らしいからそれ以下のカフェインが用いられているというのがひとつめの可能性、もうひとつの低血糖発作は血糖値が著しく低下した場合に発生し、これは糖尿病の治療にも用いられているインスリンを使えば誘発させることが可能であろうと素人なりに考え、つまり「眠りの小五郎」は大量のカフェインあるいはインスリンをクソガキに注入され「見かけ上は」眠っている状態にされているのではなかろうかという結論に達したが、あんな細い針に人間を失神させるほどのカフェインインスリンを塗布することはできないし、仮にあの針が内部に必要十分な量のカフェインインスリンを保持できて刺さった瞬間に注入する機構を有しているとしたらやはりあのサイズでは小さすぎるように思うし、さらに本当に眠っているのではなく失神しているのだとしてもやはり先述の物質があれほど短時間で効果を現すものだろうかという疑問は以前として解消されないわけで、謎は深まるばかりである、というようなことを今日の会社帰りに行った病院の待合室でポチポチググりながら考えていた(医学の心得は1ミリもない太った素人の妄言なのでマジレスは勘弁してください)。