豆腐

まだ夏じゃない

20:33

現世デビューしたときに仮死状態だった初期不良を除けば一応30年以上電源を落とさずにこれまで生き延びてきたわけだが、初期不良のせいなのか若年性健忘症なのか知らんが記憶力に難があって、人の顔と名前がなかなか一致しなかったりあるいは全然思い出せなかったりして困ることがこれまで多々あってこれはもう俺の頭で記憶に関連する部位が全部揮発性メモリなのだと割りきって諦めているわけで、おかげで音楽はそうでもないけれど、映画とかアニメとか本といった大抵の創作物のことはよほど印象的なシーンがあったか、あるいはすごく気に入って何回か再読再視聴していない限り数年でその内容の半分以上を忘れてしまうので(当たり前だが一度しっかり覚えたものはけっこうちゃんと覚えている)、ある意味では同じものを何回も楽しめてお得! と思うこともできなくはないので、前に見たのはいつだったか忘れたけれど確かに観たはずなのに内容のほとんどを忘れていた映画「ファイト・クラブ」を観直したら、そうだ俺も自分の脂肪を使って石鹸作って売って歩けばええんや! と新たなビジネスチャンスを掴んだ喜びに小躍りしているが、記憶力といえば俺の幼なじみ(筋肉ムキムキマッチョマンのメガネゲーマー)は漫画の単行本を買って帰ったら同じのをすでに持ってたということが多々あって、お前どんだけダブって買ってんだよと試しにダブった漫画を並べてみたら余裕でチートイツや四暗刻ができるくらいダブっていたので、彼に比べたら俺なんてまだまだパシリやヒヨっ子序の口ニュービーの類でしかないのでこれからも精進してどんどん忘れていきたいが、俺の脂肪石鹸ビジネスチャンスに関して真面目に考えると、太ったり痩せたりは成長過程で身についた脂肪細胞が肥大・縮小することで太ったり痩せたりしてるように見えるだけで脂肪吸引でもしないと細胞の数自体は変化せず、商売として石鹸を作り続けるなら定期的に脂肪吸引する必要があるから脂肪細胞はどんどん減っていくので続けるほど太りにくくなるわけで、そうなると脂肪を確保するためには細胞ひとつあたりの質量を増やす為に死ぬ気でハイカロリー食を食わねばならず、またそのような無茶を続ければ本当に死ぬので、誠に残念だがこのビジネスモデルは詰みとしか言いようが無いのであった。と、ここで日本が誇る花札屋の皇帝宮本茂の「アイデアというのは複数の問題を一気に解決するものである」という言葉を思い出して思いついたのが、どうせ俺の脂肪石鹸なんて誰も買わねえし売れても50円くらいだろうしそもそも絶対死ぬ家内制手工業なんてやりたくねえ、つまり俺ではない魅力的な誰かの脂肪を長期間安定して入手できてなおかつ石鹸が高く売れればもっとよいわけで、それを可能にするアイディアを俺たちはもう知っているじゃあないか。ヒントは女性声優だ。