豆腐

まだ夏じゃない

ボロい/煙突/牛乳

windup.hatenablog.com

何かを隠したって話で思い出したことがあって、中学生のときに通っていた学び舎はなにしろド田舎のド古いド学校であったから、夏は暑く冬暑いというジャパン四季と真正面から向き合わざるを得ず、一時期はヒビだかなんだかのせいで二階の渡り廊下が使用禁止になったりしたような老朽化の進んだ建築物で、よく言えば歴史がある、端的に言えばくっそボロい学校で開かずの間みたいな場所もあちこちに存在しておって俺を含むバカどもはそういう密室になんとか侵入できないか試行錯誤していたのだが(だいたいそういうところはただの倉庫代わりとしてゴミが山積みになっていた)、ある日、かつて薪ストーブなどで使われていたと思われる壁の煙突穴をこじ開けてみると10年以上前の日付が刻印された紙パック牛乳が出てきて、先ほどのアホどもが宝物を見つけたかのようにキャーキャー言いながら悪ふざけで開封したら真っ黒でややとろみのある液体がヌルっと出てきて、誰かが醤油だ! と言ったがために牛乳は10年放置すると醤油になるという反証の必要が全くない仮説がアホどもの間で出回ったが、考えてみればどういう意図からかはわからんけれど煙突の穴に牛乳入れて隠したアホな先輩たちがいたのだね、アホな僕たちはそれを発掘してキャッキャ喜んでおるのだね、それなら今から10年後光り輝く未来に向かって走る後輩たちのために僕たちも宝を残すべきではないだろうかと思ったアホどもは、給食で余った新しい牛乳パックを煙突穴奥深くに封じて卒業し10年後醤油になっていることを願いつつそれぞれの道を進むことになったわけですが、今あの牛乳は一体どうなっているのか、僕たちのようなアホが目ざとく見つけてやはり醤油だ醤油だキャッキャキャッキャ言っているのかもしれないなあと思うとやや微笑ましい気持ちになる、と言うことができればよかったのだが、老朽化が進んだ我が母校は通う生徒もろくにおらんのに豪快に改修工事を行い、その影響で我々アホが牛乳を隠した二階そのものがぜんぶ消失してしまったのでウキウキしながら隠したあの牛乳は絶対醤油になっておらず、というかそもそも牛乳が醤油になるわけないんだよアホか俺らはアホかよアホだよなあ。