豆腐

まだ夏じゃない

ファイルとして保存したらどんな拡張子になるのかだけ気になる

辞めるちょっと前に逃げ場として駆け込んでいたコーヒーショップに久しぶりに行って、正直ぼくは酸味がちょっと強いなとかクリーム入ってるから死ぬほど甘いな程度の区別しかつかないバカ舌なのでコーヒーの味の違いなんてろくにわからんのだけれど、件のお店はやはり味の違いなんて甘いかすごく甘いか少し甘いか普通だなとやはり味の違いなんてわからんが、文字通り死ぬほどつらかった記憶と直結しているけれどそこにいるときだけは比較的何も考えずに過ごすことができたのでけっこう気に入ってる場所なので、なにか用事があって時間が空いていたらたまにその店で一服ついでにコーヒーを飲んでいるわけですが、なんつうんすかね、所詮はチェーン店なわけでして俺を含めてろくな客層じゃないわけでして、要するにたまにやたらデカい声でベラベラ喋るクソガキどもやおっさんおばはん連中と出くわすこともあって、ぼんやりレイドバックしたいだけのおれさまからしたら貴様らデカフェ用豆製造プラントにブチ込んで徹底的に生命を抜き取るぞと静かに激怒することもあるわけでして、別にコーヒーショップにかぎらずですよ、酒を出す店ならともかくそうでない飲食店でギャーギャー騒ぐというのは圧倒的偏見に基いて考えるにクソの2文字なわけでしてそういう奴らに出くわした己の不運を嘆きつつイヤホンで外界を遮断しインナーマインドと目隠し将棋でもして15手目くらいには盤上がわけわからなくなって負けを宣言する遊びをしてその状況を耐え忍ぶのはおおむね皆さんと同じに違いないと確信しておりますが、この間さっきのコーヒーショップでソイラテとかいう中途半端な飲み物を頼んでゆっくりしていたら近くに座った女性二人組の会話が耳に入ってきて、ああこれはまた無駄にイライラしてしまうからやばいな、イヤホンしたろと思ったが時すでにトゥーレイト、その女性の冗長な話をガッツリ圧縮すると、心霊現象の類が記録された呪いのビデオ的な映像がインターネットで配信されているが呪いは伝染するので第三者がそのような映像を見た場合呪いが広がってしまうので危険が危ないからどうにかせねばならないとのことで、わたしが小学生の時分などは心霊番組やUFO特番などがけっこう頻繁に放映されていてオカルト少年だったわしはワクワクしながらそれらの番組を観賞しておったわけだが、今はテレビ自体うちにねえから単に俺が知らんだけという可能性もあるが先のようなユーレイやらなんやらが写真に! みたいな番組はまず放送されなくなり、これは身も蓋もない言い方をすればインチキがバレた上にみんな飽きたからで、写真やビデオといった媒体は無関係に加工しようと思えばいくらでも加工できるものをさあ怖いだろう恐ろしいだろうと言ってもみんなアーハイハイで済ませるようになってしまったからで、ましてやインターネット云々の動画となるとデジタルデータなわけで加工するひとの工夫やがんばり次第でそれはもういくらでもやりたい放題できる時代になってしまったのだからその手の映像のデータというのはもうごくごく一部の好事家にのみ受けるような、月刊ムーも半笑いであーそうすねとスルーする程度の存在に成り果ててしまっているわけで、言い方によっちゃあロマンがねえなあと言えなくもないがしかし幼年期にさんざんドハマリして自然とああこれ全部インチキだわ……と気づいてしまったかつて少年だったおっさんからするとその手の話というのはただただ腹立たしいだけで、インターネッツ経由の呪いってなんだよ、見たら伝染するってワームかなにかかよ、あるいは実行ファイル形式なのかよ、おめえがそうやって喋るのはセーフなのかよ、そもそも呪いってデータ化できんのかよ、フォーマット決まってんのかよ、RFCで定義されてんのかよ、オライリー本出てねえのかよ、どんな開発環境で作ってんだよ、バイナリ生成するときに必要なライブラリとかあったら教えてくれよと一人むっすり激怒するおっさんがいて面倒くさいこと考えだしたりするので、コーヒーショップでオカルトの話をしてはいけないし、おれよりさらに歳をとってるおっさんというか半ばじいさんたちも若かりしころに染まった特定の色の思想をもとに現代の政治を大声で語り合ったりするとそれもまた喫煙席の片隅でひとり激怒するおっさんがガバガバ思想はともかく声がでけえから黙れと舌打ちしまくるので、コーヒーショップはとても危険な場所であることを各々今一度再確認されたし。