豆腐

まだ夏じゃない

坊主にするのも床屋代を浮かせてなるべく貯金するためなんだと思う

ラッパーとかヒップホップと聞いて真っ先に思い浮かぶのは明らかにオーバサイズのパーカやパンツ、あとなんかニューエラのキャップとかやたら重そうなチェーンネックレスとかでコーディネートしてて、口を開けばマイク一本でのし上がってみせるぜ金ゲットだぜ大麻最高だぜみたいなステレオタイプにも程があるイメージしか抱けない貧相な頭なもんでして、個人的にはあまり関わりたくないからそういうひとたちを見かけても近寄らないように心がけているが出不精だしそういう友達がいるわけでもないので別に気にしなくても全然問題ない類の話だし、別にヒップホップとか無関係に友達がいないのでいよいよ涙が頬を伝い落ちそうになるが、以前一緒に働いていた超人格者の韓国人の同僚がちょうどあの手のひとたちがつけていそうな金色のゴツいネックレスをしていてどうにも君のイメージと合わんなあと思っていたら、なんでも来日するときにおばあちゃんが「お金に困ったらこれを売りなさい」といってプレゼントしてくれた純金のネックレスだそうで、彼を含め当時の同僚とはまったく連絡を取っていないから、あれから彼はネックレスを売らずに無事暮らせているのか、というか彼の優しい性格や有能さなら今でもきっとあのネックレスを大切にしているのだろうなあなどと思うが、そう考えると冒頭のヒップホップさんたちがつけているネックレスもひょっとしたらマイクひとつで天下を取るぜと息巻く孫におばあちゃんがプレゼントしたものかもしれないなあ、だから彼らはおばあちゃんに俺頑張ってるよと伝えるためあんなに大金にこだわっているのではなかろうかという真実に気づいたのがついさっきで、あえてデカい服着るのもサイズが小さいと着られないからというのは当然として育ち盛りだとすぐに新しいサイズに買い換えなけりゃいけない、つまり余計なお金がかからないようにするための配慮であり、このオーバサイズ服メソッドはおれ自身も覚えがあるのでまず間違いないと思われ、つまりこれまでの話を総合するとラッパーとかヒップホップの人たちは一見怖そうに見えるし口も悪かったり犯罪に手を染めたりしてしまうこともあって怖いひとたちに思えるけれど実はすごく家族思いのやさしいひとたちで、だからこそ名が売れだした頃はやたらめったらとんがってるけれど最終的には感謝の気持ちを表したチルでイルなリリックをドープなトラックに乗せてフロアをメロウなフロウで満たすようになるのだと確信に至ったので、これからは彼らのことをものすごいおばあちゃん子なんだなあと思うことにする。