豆腐

まだ夏じゃない

2014/06/21 23:47

ニンジャスレイヤーにおける極北の地ドサンコのモデルになったことで世界的に有名な北海道、その中心都市である冷凍都市殺幌に暮らしているわけだが、このところどうにも気分が優れず、仕事のクソさを加味してもこれはどうにもおかしいなあ、何かがおかしいなあ、と訝しんでいたのだけれど、ふと空を見上げて気づいたのが、そういやここしばらく青空見てなくね? 雨ばっか降ってね? ということであり、この北海道において日光はクマやシカの肉といった食料についで非常に大切なものであり、一年の九割までを雪とともに生きる道産子にとってこの時期は光合成をするのにうってつけの季節であり、言い換えるとこの季節に陽の光を浴びられなかったものは、その大半が越冬の最中に命を落とし、その亡骸はクマ寄せの撒き餌として処分されてしまうため文字通りの死活問題であって、このままではおれもクマの餌となり、たっぷりと脂の乗ったこの熟れ熟れボディを常日頃皆様に還元したいと考えているおれは、こんなおれもひとさまのお役に立てるのかあ、うれしいなあ、と長期間光合成できなかった道産子特有の自己犠牲精神に囚われていたのだが、冬眠明けのときのようにもっさりと目を覚ました今日、ついに待望の青空がその目に飛び込んできてたちまち精神は浄化され、体中の細胞が息を吹き返していく確かな感覚を味わい、太陽に五体投地して感謝の意を表して興奮冷めやまない状態で思わず往来に飛び出すとやはり皆思うことは同じで、老いも若きも男も女もねこも杓子も日光のもとそれぞれにそれはそれは楽しげにダンシングしており、興が乗ったもののなかには勢い余って服を脱ぎ捨て、あれやこれやをブランブランボインボインさせており、ヴァイオレンスドサンコポリスメンは彼らを片っ端から荒縄で縛りあげ地下収容所に連行するのに大忙しで、しかしそんな彼らもその顔には笑みが浮かんでおり、ついに北海道にも短い夏がやってきたのだヤッター! とみんなで万歳三唱を繰り返しました、たのしかったです、と小学生の作文みたいに締めたいところだが、実際札幌は16日間連続で降雨を観測していて、これは58年ぶりの新記録だそうで、これが甲子園などであれば素直におめでとうと言えるのだけれど、二週間以上の長きにわたってぱっとしない天気ばかりというのは嫌がらせ以外の何物でもなく、また農作物の収穫に悪影響があるのも間違いなく、北海道の野郎の性格の悪さを再々々々々々々々認識した次第であります。ほんとマジで勘弁してもらえませんかねえ。