豆腐

まだ夏じゃない

20:12

カラテはどうなのか知らないが、ジュードーの帯の色は初段から五段までは海外において絶大な威力を誇ると地球の歩き方にも書いてあるブラックベルト、いわゆる黒帯で、六段から八段は赤白帯、九段から十段の達人に与えられるのが赤帯となっており、俺が高校生のころと仕組みが変わっていなければ、年に二回くらい開催される昇段試験に合格すると段位が与えられる仕組みになっているのだが、この昇段試験は試合の他に「型」の試験もあり(これも昔と変わっていなければ、かつ初段の試験であればだが)、そのために各地の講習場でマジこわいジュードーおじさんに怒鳴られながら型の練習をするのだが、これがまあ非常に面倒くさいしおじさん怖いし型なのに全力で投げ合うから痛いし金かかるしでいい事なんてひとつもない代物で、なんでこんなしんどい思いせにゃならんのだと思いながら望む昇段試験、先述の型の試験と合わせて3試合行って2勝以上できれば晴れて初段黒帯ゲットだぜという運びになるのだが、その地方やその年の参加者のレベルがまちまちすぎて格ゲーならバランスもクソもない強キャラとぶつかる可能性もあり、実力の世界と言えばそれまでだが、「普通なら3年やれば誰でも黒帯取れるよ」なんて言われて高校の三年間ジュードーをやっていた俺はその「誰でも」の中に入ることができず永遠のホワイトベルトホルダーとして卒業したわけで、数少ない後輩は腹ン中では「こいつ弱えなあ……」とか思ってたんだろうなあと思うと完全に逆恨みだが今から先輩面してやろうかと思うが連絡先など知らん、ていうか二度と会うことはないからどうでもいいし(震え声)、と強がる俺が三年間ジュードーをやって残した成績を振り返ると、勝ったのは1回だけでその相手も昇段試験で人数が合わなくて試合した他校の女子選手であり、あとは引き分けと負けばかりで、俺がジュードーから学んだことと言えば、柔道部物語に影響されてはじめてみたけれど主人公の三五十五みたいになるには血の滲むような努力をしなければならんし、「柔よく剛を制す」ためにはそれだけの鍛錬が必要であり、ジュードーをやれば誰でも強くなるなんてことは一切なくて、やっぱ真面目に練習したやつが強いよね、という至極当たり前のことだけだった。ちなみに昇段試験で試合をした女子選手は俺のせいで腕の骨にヒビが入り、そのあとなぜか俺のいた部のやつと付き合いはじめた。なんでや!