豆腐

まだ夏じゃない

物語/おっさん/人力検索処理

以前にも申し上げた覚えがあるが、小説や映画や漫画といった物語の類の内容を覚えているのが苦手で、ひどいときにはすでに読んだ本を買ってきて読み始めたはよいが、展開が手に取るように分かってしまって一体なんでだろうと頭を捻りつつ読み進めていたら、ああこれ前買ったわということも数度あり、もちろんすべての物語について忘れてしまうわけではなく、たとえば猫の地球儀であったり風の歌を聴けであったりG戦場ヘヴンズドアであったりブレイキング・バッドであったりと何かに取り憑かれたように繰り返し繰り返し読んで観てわりと詳細な部分まで記憶しているものもあって、わしにとってその対象を自分の身に取り込んでしまいたい、自分の血肉にしなければならんと思うような物語というものは確かに存在するんだけれど、そういうのとそうでないものの分水嶺というか閾値みたいなものは未だにはっきりせずしいて言うなら何かしら突き刺さるものが含まれておるんだろうなあと結局言葉にできんのだけれど、問題は現在も続いている漫画や小説なんだけれどもその中身が風に吹かれた砂絵みたいにおぼろげになってしまっている物語で、決してつまらないわけではない、むしろ夢中になって読んだはずなのに、一ヶ月ほど経過するとその内容について思い出そうとしても一体どこまで話進んでたかしらんと悩むような作品が多々あり、特に漫画はそうだが物理書籍というものの性質上買えば買うほど部屋のスペースが減っていくので数年前から単行本が発売されるたびに必ず買うぜという機会がぐっと減ってしまって、代わりに時間があるときにネカフェでまとめてガッと一気読みするスタイルになってから余計にこの若年性健忘症めいた記憶ロストが頻繁に発生していて、ネカフェにいくたびにこの作品は一体何巻まで読んだかしらと片っ端から単行本を手にとってすでに読んだところとそうでないところの切れ目を毎回探している有様で非常に煩わしく、そこで閃いたのがどの作品をどこまで読んだか、タイトルと巻数ナンバをiPhoneでメモしておいてクラウドに保存しておくという実に単純な手法で、痴呆寸前のおっさんやんけ、アホくさと思われるかもしれないが、こうでもしないと映画メメントよろしく漫画を読みにいくたびに俺は何を読んでいたのかと懊悩したのちにいちいち人力検索処理を実行するはめになるのでおっさん上等やボケ、こっちは真剣なんじゃアホとドリンクバーのジュースを直飲みしまくってお前らを威嚇する所存ですが、この方法を取るようにしてから気づいたのは、一週間くらいのスパンならともかく先ほど申し上げたように一ヶ月くらい間が空いてしまうとどこまで読んだかが分かっても、そこまでの内容については半分以上忘れているので、結局続きより前の数巻分を読んで内容を思い出す作業が必須になっていて、これメモする意味ねえんじゃねえかなと最近気づき始めた。