豆腐

まだ夏じゃない

23:33

もう仕出しとか頼んでもどうせみんな年寄りばっかで食わんしそもそも十三回忌でもう大げさになんかやることもないだろうし、そ食堂で各々好きなもん頼んでもらう感じでいいべという段取りになっていたので、来てくれた親族たちと入った食堂でそれぞれにオーダーを済ませたがいくら待てども注文した品が出てこず、ようやく持ってきたと思ったらたとえばトンカツ定食頼んだらシーフードカレーが出てきたくらいのレベルで全然違うのが出てきて、いや確かに最初カレーと言ったがやはり定食にすると言ったではないか、伝票ちゃんと確認してよと親族のおじさんが店員のおばさんに言ったら「いえ間違ってません、聞いた通りに伝票書いてますから」と清々しいくらい悪びれることなく言い放って、己の正当性を証明するためのエビデンスとして自分のガバガバ注文認識伝票を自信満々に出してくるとはこのおばさんも謝ると死ぬ病の罹患者かしらと思ったが、おじさんがカレーではなく定食を頼んだことは我々も覚えていたし、俺は親族たちとの付き合いがまずないからおじさんが誰なのか知らぬのだが俺の親父のために来てくれたひとりであり好きなものを食ってもらってせめてもの感謝の気持ちとしたいのだけれど、おばさんもなかなか太え野郎というか己の間違いを認めずカレーを食わせようと粘ったがこちらに非がないのは明らかなので、とにかく頼んだのと違うんだから当初の定食を持ってきてくださいよ頼みますよ本当にとカレーを引っ込ませてやれやれ困ったもんだわと全員で苦笑いしてまた談笑して食事の到着を待つことになったが、何があったのか知らんがまた謎の長考が始まって、俺が頼んだ天ぷら定食や母とその妹が頼んだ海鮮丼はかろうじてといった感じで届いたが、親族が頼んだものは一向にやってこず、しかし我々よりあとに入店した一般客の注文は早々に処理され、結局さらに一時間弱待って嫌々再確認したら親族のオーダーはほぼ全て間違っており代わりにみなカレーを頼んでおることになっていてあのババアマジ何なのと絶句し、先ほどのおじさんがもう何でもいいから一番早くできるやつ何なのと聞いたら海鮮丼なら早いとのことで、もうそれでいいわと全員が疲労と空腹で疲れ果て失意の海鮮丼にしたらほんとに早くて海鮮丼と定食とカレーと天ぷらでなんでこんなに時間差あんだよ、この店の厨房で何が起きてるんだ、っていうか多分大体あのババアのせいだなと激怒しながら(おなかが空きすぎているときにこういうことをされるとぼくはすごくおこるタイプです)結局みんな自分の好きなもの食ってねえじゃん、おかしいじゃんともそもそめし食ってさっさとこんな店出るべと母が会計を済ませようとしたら12000円くらいと言われたが、高くねえかと思ってもう一回計算してもらったら今度は7500円で、ババアへの信頼を完全に失っていた母が時間かかってもいいから頼んだものと値段全部書いてきちんと計算してねとお願いしたら結局9800円がどうやら正確な金額らしいという結論になって、相変わらず一切反省やメンゴメンゴの気配がみじんもないババアのありがとうございましたーという声を背中にもう二度とここには来ねえなと確信してそれぞれに帰宅し、それにしてもあの店酷かったなあと改めて明細を確認したら俺が頼んだ天ぷら定食はメニューでは1500円だったのに支払いで1600円取られていたが流石にもう100円がどうとかいいわ、とにかく疲れたわと猫のブラッシングをして心の平穏を取り戻したことを除けば、父の法要はつつがなく終了しました(十七回忌については別にやんなくていいべというコンセンサスが母と僕の間で取れており今回が事実上ラストの法要だったわけで、坊さんは相変わらず面白く法要自体も問題はなかったが、最後の最後でケチがついて、ぼくは過ちをみとめないババアを殺す個人事業主になろうと思った)。